コラム

それって誰のため? ~ 身を挺して守れるか

それって誰のため? ~ 身を挺して守れるか

それって誰のため?

もうすぐ愛を語らうイベント、バレンタインが訪れる。もうバレンタインネタもなくなってきたので来年は書かないぞと思いながら今年も書いている。今回は既に有名な話なを短くサラッと済ませようと思う。それって誰のため?っていうお話。

バレンタインと言えばチョコレート。普段、あまり自分で買って食べないし、買ったとしてもコンビニやスーパーで売られてるごくごく一般的なものなので、以前も書いたとおりチョコレートをプレゼントする習慣って悪くないなぁと思う。一粒何百円もする高級チョコレートは、自分で買うもんじゃなく人から貰うもんだと思ってるから質が悪い。

高級チョコレートでお馴染み、ベルギーの老舗チョコレートブランド『 GODIVA 』のロゴや社名の由来にまつわるエピソードはあまりに有名で、ここで語るのは今更感が否めないが、一応ご存知ない方のためにかいつまんむとこんな話。

小さな町の領主レオフリック伯爵は野心家で、豊かで文化的な年に発展させるべく、公共事業を積極的に行い、その都度重税を課し領民を苦しめていた。
今の時代にもどこかで聞いたことある話だ。

見兼ねた心優しい妻レディ・ゴディバは、伯爵に税を引き下げるよう何度も訴え、議論に疲れた伯爵は妻に条件を出す。

「もしおまえが一糸まとわぬ姿で馬に跨り町中を廻れたなら、その時は税を引き下げて建設計画を取り止めよう。」

翌朝、レディ・ゴディバは一糸まとわぬ姿で町中を廻り、領民たちはそんな彼女の姿を見ないように窓を閉ざして敬意を表した。

そう、 Lady Godivaは実在した伯爵夫人。
伯爵は約束通り、税を引き下げた。

粋な中に、野暮な奴が

領主の言ってることはめちゃくちゃだが、無茶ブリしたものの約束を果たした点だけ見たら「粋」と言えなくもないし、レディ・ゴディバの行動はもちろん「粋」だし、事情を知ってその姿を見ないようにした領民もまた「粋」だろう。

この話にはサイドストーリーがある。
登場人物がみんな「粋」な行動をとる中で、ただ一人「野暮」な奴がいた。

これも有名な話だが、領民が窓を閉ざしてレディ・ゴディバに敬意を表していた時に、こっそり覗き見ていたトムという男がいる。

何て野暮な奴…と思いつつも、男として憎めないし共感できたりもする。

このトムという男はこの後、盲目になるという結末で、このトムはのぞき魔の代名詞となる「ピーピングトム」と呼ばれることとなる。

真偽のほどはわからない話だが、無粋な奴への天罰だろうか。

誰のため?

領主は小さな町を文化都市にすべく、信心深いこともあって大聖堂を建てた。そこに人が集まり情報が集まりランドマークとなり、それをキッカケに様々な施設を建築し、それを増税で賄おうと考えた。野望があったとしても、方法が間違っていたとしても。

レディ・ゴディバはそれを領民の負担にすることに心を痛めて辞めるように進言し、大義のための自己犠牲を覚悟する。

そして、それを知った領民は、せめて自分たちが出来ることをと窓を閉ざして目をつぶった。

これはいったい誰のために起きたことなのか…本質は?

ダメな代表者や指導者を参謀がいさめる。
正しい組織の手本のようだ。ダメな代表者じゃなかったら尚いい組織だが、自浄作用が機能する組織とはこういうものだろう。
このケースは身内だが、身を挺してでも止める者がいなければ、ストーリーは一転、裸の王様だ。
そうはなりたくない。

後世、このエピソードに感銘を受けて社名とロゴに採用したのがベルギーの高級チョコレートのGODIVAだ。

深い愛で領民のために身を挺して増税を止めたレディ・ゴディバは、時を超えて高級なチョコレートブランドとして蘇ると誰が予測していただろうか。

今では庶民は、特別な日や贈り物としてしか口に入らないプレミアムなチョコレートになった。
何たる皮肉だろう…そう思うのは、なかなか口にできない僕のひがみだろうか。

そんなことを考えながら、小さい時から慣れ親しんだ安いチョコを頬張ることにする。

それって誰のため?

というお話でした。

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About ロキ

江戸下町産。東日本大震災をきっかけに働き方を変える決意をして、半年後に女性制作ギルドQriousを立ち上げ。46歳で慣れ親しんだ東京を離れ、瀬戸内の静かで穏やかな島暮らしをするために移住。行った先で新たなクリエイティブギルド弓削島制作舎を立ち上げて、東京や大阪と島の暮らしを満喫中。メガネ&方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。仕事ではユーモアを忘れない。
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